費用一覧をお示しする前に少々身の上話をします。一覧をご覧になりたい方はささっとスクロールをば。
かのジョージ・マロリー卿は「何故山に登るのか」と問われた際に「そこに山があったからだ」と答えた一方、漫画「神々の山嶺(いただき)」で主人公の羽生丈二は「ここに俺がいるからだ」と答えた。
「漫画 神々の山嶺 文庫版 第4巻 P83より」
私は「あ^~楽しいんじゃ~」と答えた。
趣味を持つという事は楽しい人生を送るために必要であると思う。趣味というのはアウトドア、インドア問わずに数多くあるので、どの趣味が合うかなどは人それぞれだ。また中にはどうしてもお金がかかる趣味もあり、車や登山も割と金がかかる。私は登山もしていたが、オールジャンルでやろうとすると実際にはとてつもなく金がかかる。今でこそ山から足が遠のいているが、8年間の中で、少なくとも装備品にはいったいいくら使ったのか、気になったのでメモにした。ただし超ザックリである上、米印はバーゲンセールの価格であり、正規の価格相場とはかけ離れている部分もある。
山装備費用:ジャムぞう編
夏山登山 | 単位:円 |
ザック(80L) ※1 | 20,000 |
雨具上下 ※2 | 20,000 |
登山靴 | 40,000 |
寝袋類 | 30,000 |
衣類 | 10,000 |
火器 | 10,000 |
ヘッドライト | 5,000 |
食器類 | 200 |
コンパス | 1,000 |
ナイフ | 1,000 |
笛 | 300 |
その他小物 | 5,000 |
合計 | 142,500 |
沢登り、岩 | |
沢足袋 | 14,000 |
ヘルメット | 10,000 |
ハーネス | 20,000 |
クライミングシューズ | 12,000 |
マット | 20,000 |
カラビナ等小物類 | 20,000 |
シュリンゲ | 10,000 |
合計 | 106,000 |
冬山 | |
ビーコン | 40,000 |
スコップ | 10,000 |
ゾンデ | 10,000 |
スキー縦走兼用ブーツ ※3 | 20,000 |
登はん用ブーツ(スカルパ) | 60,000 |
冬用アウター上 ※4 | 9,000 |
冬用アウター下 | 40,000 |
山用スキー板 ※5 | 50,000 |
バインディング ※6 | 40,000 |
シール(巻き付け式) | 12,000 |
ストック(下界ゲレンデ用) | 2,000 |
ピッケル(KAJITA) | 10,000 |
バイル×2 | 30,000 |
アイゼン(KAJITA) | 12,000 |
手袋類 | 20,000 |
冬用衣類 | 10,000 |
合計 | 375,000 |
総合計 | 623,500 |
※1ザック:今はなき格安メーカー、マウンテンダックスを使っていました。グレゴリーとかマムートなら4〜5万はするでしょう。
※2雨具上下セット:メーカーは聞いたこともなくださいデザインでしたがGORETEXでした。バーゲンにて購入。モンベルとかノースのGORETEXなら上だけで2〜3万はします。
※3スキー兼用ブーツ:友人のお下がりです。定価なら6万以上、TLT仕様なら8万はかかるかと。
※4冬用アウター:Patagoniaのハードシェルで定価は98000円でした。それが90%OFFの大バーゲンでしたので即決です。冬用で保温性能が高くGOREなら少なくとも3.5万はするかと思います。パンツも同様でビブパンツなら更に高いかと。でも山スキーをするなら絶対ビブパンツがいいです。こけた時や登はん時に背中から雪が入るのは不快すぎます。
※5:山スキー板長さや幅にもよりますがファットスキーじゃなくても6万はします。ファットなら8、9万は行きます。
※6:ディアミールのバーゲンセールでした。TLTで6〜7万くらいかな。
装備以外にも費用はかかる
山岳団体に所属していたのでテント、ロープ、支点等々は共用のため除外している。ソロでやろうという人はそれも加味されると付け加えておく(テント5万、ロープ1本2万、支点等々+α)。
さらに8年間で500日間程度山にいたことになるが、燃料、食料、移動費等々少なく見積もって1日1,000円換算したとしても8年間で50万円だ。これで100万円。
車で400万、山で100万。合計500万円ほどかけてきたことになる。こう考えると。学生時代も含めて結構かけてきたものだと逆に感心してしまう。(絶対100万以上かかっていると思うが、あくまでざっくりである)
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装備費用を抑えるための方法
正直な所、私は正攻法しか知らない。かつて実践したケースは以下の通りだ。
1.大手登山用具店のメンバーカードをつくる
メンバーになると5%割引してくれたり、ポイントが付く。
2.時期毎バーゲン
夏山が始まる前に冬装備、冬山が始まる前には夏装備が安くなる。ゴアテックスの雨具、山スキーはこれでお世話になった。ワゴンセールでも掘り出し物あり。
3. 個人店の特価バーゲン
大手ではなく個人経営の用具店に多く、とてつもない掘り出し物に巡り合える時がある。あ^~時が見える。
4. 経験者のおさがり
ピンキリ。得てして粗大ゴミになるが、たまに相棒(お気に入り)になる装備もある。
5. 個人輸入
実は実践したことがないが、友人は円高時に自分の装備も転売もウハウハだったとかぬかしていた。ちょっとレベル高。
登山用品は価格が高ければ性能は高くなり、快適になりますが、のめり込むのはほどほどに。沼にはまりますので。ちなみに私の主なフィールドは北海道でした。学生で金もなかったので、節約のために厳冬期の日高や裏大雪でもアウターの下はジャージ、ユニクロの毛糸のシャツでした。肌着はブレスサーモでしたが。アウターがしっかりしてれば意外に大丈夫です。
登山も自己責任
登山は老若男女だれでも楽しめるのが良い点である。さらに投資は自己責任というが、山も自己責任でありかつ平等だ。強い人、弱い人、金が有る無し関係なく亡くなる時は亡くなってしまう、そんな世界である。私は国内の山しか知らないし、国内でも岸壁にぶら下がりながら宿泊したり、落下→即死という場所も経験が少ない、比較的マイルドな山屋であった。それでも山に登っている最中は脳内物質が「ブシャ~」と出ており、非常に楽しい経験であったが、たちが悪い事にちょっとした刺激では満足できずにどんどんスリルを求めていった。しかしそうなるとヒヤリハットはあるし、事故も増えてくる。危ない目に会う度、母や妻が「あんたが死ぬ夢を見た」と言われると、流石に「このままでいいのだろうか」という気持ちも出てきたのである。山に行くにはパワー、強い意志と、ぐんぐん溢れる情熱も必要だ。それに対して私はもう枯れてしまった。今は心技体、いずれも家系ラーメンの油でギトギトに衰えてしまっている。戻すには家庭を省みぬ覚悟が必要だし、天気読みの勘は長期滞在じゃないと身につきにくい。そんなこんなで今は山からの遠ざかっているのである。
これから山をやろうとする方は是非山岳団体に入って技術を学んでおいて方がいいと私は考える。国内の山でも事故を起こしたら誰も助けてくれない。最後は自分で這って帰るしかなく、いくら高い装備をかっても死ぬときは死ぬので、最後は自分の心技体に頼るしかないのだ。私が所属していた団体の先輩は今と比べれば驚くほど簡素な装備で物凄い活動をしていたので、登山は装備ではなく経験、技術、根性があればなんとかなるのでしょう。
また「へ~いタクシー」というノリで山岳警察を呼ぶ人がいるという噂は噂の範疇であると思いたい。事故った時のために痛み止めを常備している「漢」もいるので、あくまでも警察は最終手段だと私は考える。
とにもかくにも登山は非日常が味わえる良い活動である事は間違いないので、これから山に行く方は、小説と漫画版「神々の山嶺」、小説と漫画版「孤高の人」、漫画「岳」を読んでいく事をおススメしておく。
以上です。