タイトルのような面白い可能性を示しているのは「夫婦関係満足度とワーク・ライフ・バランス(山口 一男(シカゴ大学社会学部教授))」という10年程前の論文です。
この論文では日本の様々な家庭を対象として行われた社会学に関する8つの研究データから、夫婦関係の満足度に与える要因について考察しておりますが、夫の月収も夫婦関係に影響していると指摘し、その中で以下の可能性を述べています。
夫の月収10万円増加
=平日の夫婦の会話時間の1日平均16分増加(=(60×0.012)/0.046)
=休日に妻が夫とともに大切に過ごしていると思える生活時間の1日平均54分増加(=60×0.012/0.014)
=夫の育児分担割合が(例えば15%から18%に)3%増加(=0.012/0.396)
=平日に「食事」または「くつろぎ」を妻が夫と大切する時間と感じる日が以前より6日に1日増加(=0.012/0.074がほぼ6分の1)
=世帯の預貯金・有価証券額が約130万円増加(=(0.012/0.009)×100万)夫婦関係満足度とワーク・ライフ・バランス, 季刊家計経済研究 2007 WINTER No.73
この研究の目的は?
この研究は夫婦のうち、主に奥さんに対する調査から、結婚生活の満足度に与える要因はなんだろうかという事を明らかにしようとしており、特にワークライフバランスの改善という視点から結婚生活満足度を維持する方法について調べているようです。
結婚満足度に与える要因は?
こと日本において奥さんの結婚生活満足度は最初の出産を機に下がるという事は昔からわかっているようですが(永井(2002))、旦那さんの育児参加度が高いと満足度の低下が抑えられることもわかっているそうです。
つまり最初の出産後に育児の大部分を奥さんが担っていた場合、育児への負担が大きくなって様々な不満が貯まりがちですが、旦那さんがなるべくサポートしていければその負担や不満も減らせるという事らしいです。
また奥さんが専業主婦の場合は、旦那さんの収入も満足度に大きく影響を及ぼす要因になります。
家庭に対して出来る事は。
文中のデータから、共働きの夫婦はこれらの傾向とは異なり、夫婦満足度に影響する要因は専業主婦の方に比べて少ないように思えます。
とはいえ旦那さんの転勤が多くて定職につけなかったり、小さい子供が多かったりすると働きにでることが難しかったりして奥さんが専業の家庭も多いです(うちもです)
今のご時世、人手不足や給料低下もあって一人の仕事量も多くなり、残業も多くなります。
一方で夜遅くに帰ってきて育児に参加するというのも体力的にきついものがありますが、残業を減らせば仕事もまわりにくくなり、かつ残業代も減って家計も苦しくなります。1馬力ならなおさらです。家計が苦しくなれば家庭の満足度も下がると。
どっから手をつけりゃええのよという感じですが、最初に示した月収10万が1日16分の会話と同程度の効果がある可能性、という事を意識したら解決策は考えられるかもしれません。
例えば職場である程度仕事量を分割できる体制にしてもらい、いつもより早く帰るようにする。残業代は減りますが、その分育児や会話の時間を増やす事を意識するとかはどうでしょうか。
とはいえ上記の論文における指摘はあくまでも計算式からはじき出した要因であり、「家庭環境に影響を与えるのは主にこんな要因ですよ」と提言してくれているだけですので、あとは実践して何が影響を与えているかを自分の家庭で試さなくてはなりません。
その他のデータ。
旦那さんに対する「心の支え信頼度」、「経済力信頼度」も様々な要因で変化するそうですが、その要因と重要度の順位は以下になります。
(こちらは共働き、専業主婦の方のデータを含めています)
2種の夫への信頼度の決定要因と重要度の順位
(()内マイナスは信頼度が減少する要因)
夫への心の支え信頼度の増加 1位 結婚継続年数の増加(-0.171) 2位 主要生活活動数の増加(0.131) 3位 夫婦の平日会話時間の増加(0.0092) 4位 夫婦の休日共有生活時間の増加(0.0068) 5位 夫の失業(-0.0053) 6位 夫の育児分担割合の増加(0.035) 7位 世帯の預貯金・証券額の増加(0.035) 夫への経済力信頼度の増加 1位 夫の収入の増加(0.105) 2位 主要生活活動数の増加(0.131) 3位 夫の失業(-0.0053) 4位 夫婦の平日会話時間の増加(0.0092) 5位 世帯の預貯金・証券額の増加(0.035) 6位 夫が大企業・官庁へ転職(0.046) 7位 夫の残業時間の増加(0.040) 夫婦関係満足度とワーク・ライフ・バランス, 季刊家計経済研究 2007 WINTER No.73 より抽出
実践編:私はどうか
今の職場に異動になってから残業はめっちゃ減ってます。一方で手取りは4万くらい減りました。
という事で時間はあるので試してみました。
<会話編>
ジャム「知ってるか。月収10万と1日16分の会話増×30日は夫婦仲に対して同じ効果があるかもしれないらしいぞ」
妻氏「そうですか。まあうちは会話少ないですけどね」
ジャム「確かに。」
妻氏「・・・。」
ジャム「・・・。」
(継続時間16秒)
月収10万=月480分の会話とすると、208円/分。時給12,000円。16秒だと55円。しかも妻氏が共感できる会話を増やさなければならないと仮定すると先は遠い。やっぱ短時間で女性を満足させるホストってすげーわ。
<財政編>
ジャム「車にかける金を減らし、小遣い制にしました」
妻氏「車は以前がかけすぎですし、小遣い制は前から提言していました。」
ジャム「確かに」
妻氏「助かりますけどね」
ジャム「そうであろう」
悪くない反応。
<日常編>
妻氏が妊娠中は布団の上げ下げなどは毎日私がやっていたが、出産後はやらないという露骨っぷりだったので、改めて布団上げ下げ活動を開始。
妻氏「なんか最近布団をしまってくれますね。あれは助かります。」
ジャム(なかなか気づきが早くていいな)
さらに便所を汚すのは大抵私なので便所掃除や娘が起きてる時の遊び相手、寝かしつけも積極的に参加。
いい感じに満足度があがっているはずだ。
<日常編②>
夜遅くなり、外食で済ます事になったので、家系ラーメンをRED流にて食した翌朝。
妻氏「くっっっっさ!!にんにく食いすぎだろ!バカなんじゃないですか!?」
ジャム(評価低下無念なり)
結論および1つの恐ろしい可能性
結論としては月収が大きく下がっても夫婦が過ごす時間を見直していけば、円満な家庭を維持する過程はあるようですが、いきなりは難しいので、少しずつ慣らしながら進めていきましょう、という事です。
ただ山口教授はある点について書かれていませんが、男としてはそのある点が気になっています。
それは外見、例えば結婚当初ははけていたズボンが2本はけなくなる程腹が出てきたり、筋肉量が落ちてきたり、頭髪が薄くなってきたり、加齢臭がきつくなってきたりなど、そのような要因は結婚満足度に影響は与えないんですかね。個人的には与えてそうで怖いので、もう一度データを洗いなおしてほしいです。
という事で、今後は肉体改造も視野に入れなければならないかもしれません。
以上です。
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