橘玲氏著「専業主婦は2億円損をする」を読んでみましたが、著者は幸福になるためには、ある3つの条件のうち少なくとも2つをクリアする必要があると述べています。
ただ次の家庭環境下、それは夫婦で収入が高い方が夫、かつ夫が転勤族、かつ妻に特定の資格がない場合、著者が述べる幸福になるための条件をクリアする事は大変そうです。
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著者の主張(私なりのまとめ)
まずは当該書籍において、ポイントと思われる箇所を、個人的(自身が転勤族で、かつ専業主婦の妻を持つ中年男)な感覚でまとめておきます。
・あるアンケートにおいて、日本国内の女性のうち、専業主婦になりたいと言う人は全体の3割を占める
・しかし専業主婦でいる事が、必ずしも女性の幸福には繋がらない。
・幸福になるためには次の3つ「金融資本」、「人的資本」、「社会資本」のうち少なくとも2つは得ていることが望ましい。
・金融資本:金、その他資産
人的資本:収入を得る能力、技能等。
社会的資本:自身の家族、友人等の社会的つながり
・上記条件をクリアするために、独りでも食いっぱぐれないために、いつでも仕事にありつける能力や資格を得るべきである。
・更にその仕事が誰でも出来る仕事ではなく、専門性が高い仕事や独自性が高くクリエイティブな仕事だとなお満足度は高い。
・子育てが大変だったり、保育園に落ちたらベビーシッターなどに外注しよう。場合によってはベビーシッターが豊富な外国に移住しよう。
転勤族はきついっぽい
タイトルの「2億円」が稼げるかはともかく、なるほど働いた方が選択肢も増えるし金も得られるし、夫一人の収入に依存するより良いんじゃない、こういう生き方考え方もあるよ、と言う提案です。
その提言に転勤族の立場からネガティブ意見を述べると、
・転勤は4〜5年間隔なので仕事に慣れてきたら辞めざるを得ない(私が単身赴任なら別)。そのためスキルが定着しづらい。
・そもそも転勤のタイミングが読みにくい場合は仕事探しも踏み出しにくい(私が単身赴任なら別)。
・ようやく出来た友人と離れてしまうので、また1から友人作り(私が(以下略))
これらは妻も認識している事で、働く意欲はあるものの上記理由に加えて、子育ても魔の2歳に突入している為に二の足を踏んでいます。更に子供が小さい時の単身赴任は子供の教育や子育ての労力を考えた場合、大変なのでやめてほしいと言うのが妻の意見です。
とはいえ女性も働く事は幸せに繋がる可能性もあるとの事なので、妻説得のシミュレーションをしてみましょう。
私「知ってるか。働いている女性は幸福度が高い傾向にあるらしい。君もまた働いてみてはどうだろう。」
私「そうだな、特別な資格、例えば看護学校に通って看護士の資格を取ってみてはどうだろう?」
私「医療従事は向いてない?そうか、じゃあなんでも良いから良さげな仕事を見つけてくれ。ただしあと2、3年で転勤だからその場合は辞めて、転勤先でまた仕事を見つけてほしい」
私「子育てが大変?保育園に預ければ良い。ただし保育園料を払っても十分なお金が残る、稼ぎの良い仕事を選ぶように。」
私「もしくはベビーシッターに外注すれば良いではないか。何?素人ベビーシッターが事故を起こして子供が亡くなったニュースもあるし心配?」
私「大丈夫大丈夫。とにかく君が働く事が君自身の幸せに、そして家族の幸せに繋がるんだ。」
私「ちなみに私はいつも通り働いて週の半分以上は出張でいないから。保育園に迎えにいくのは君か君の両親が行ってね。」
私「どうだい?幸せな未来が見えるだるるぉぉ?」
・・・。
・・・。
これは、売ってますねぇ。
喧嘩を。
恐らく開口一番「くたばれ」と言われます。
上記シミュレーションは冗談混じりですが、今の状況で働いてほしいと相談する事は難しいと思います。
解決策はあるのか?
柔軟な考え方が出来る方からすれば、「辞めたら?」、「フリーランスになれば?」と言うアドバイスをくれるでしょう。
確かに転勤がない職種や部署に異動する事、フリーランスも選択肢の一つかもしれません。
ただ一つ職にしがみつく事こそ人生の王道だぞ、という価値観で凝り固まっている私の様な人間にとり、その様な決断はなかなかどうして度胸がいるものです。
またフリーランスでバリバリ仕事する友人もいますが、そういう方は能力もあってやる気もバリバリです。私はやる気はそこそこの無能なので先が見通せません。
差し当たり私が出来ることは健康にバリバリ働いて、家族を養えるだけの稼ぎを出すことしかなさそうです。
ただ最近、妻が在宅ワークを考えていると切り出したのは驚きました。
妻は潰しが効きませんが、ある資格と特殊技能を持っています。その技能を活かした仕事がしたいという夢を持っている所を、説得して結婚に持ち込んだ負い目?もあるため、可能な限り希望を叶えてあげたいと思っています。
補足1:当該書籍が書かれた背景
ちなみに何故橘さんが専業主婦の神経を逆撫でする様な本を書くに至ったか、それもメモしておきましょう。
橘さんは結婚当初、自身はフリーランス、奥様も働いている共働き家族でお子様もいらっしゃいました。保育園に迎えにいくのも橘さんの役目だったとか。さらにその後、奥様とは別々になり父子家庭で子育てをされたというスーパーマンです。
そんな橘さんにある女性が「専業主婦になりたい女性が多い日本社会は間違っている」という提案の本を出したいが、「成功した女性が書いても単なるサクセスストーリーになってしまうから」という理由でスーパーマンである橘さんにお声をかけたとの事。そして別の女性が大まかな内容を書き、その後橘さんがアレンジしてこの本を執筆した、というのが経緯です。また橘さん自身は当初、「専業主婦を敵に回してもメリットはない」と躊躇しておられたようですが、ある二人の高校生が「結婚したら専業主婦になるしかないのかなあ」という会話をしているのを見て、世の中には色々な選択肢があることを提示したかったのが動機となったようです。
そのため、長きに渡り「女性は家にいて子育てをするべきだ」という価値観が支配していた日本の社会が少しずつ変わり、ようやく女性の働き方が見直されつつも、まだ現実として男女格差がある中でもがき、諸事情により専業主婦となったうちの妻の神経を逆撫でするとか〜、価値観が異なる社会である欧米を引き合いに出すとか〜等の批判は橘さんに向けてもノーダメージかもしれません。
補足2:フランスでは子育てがしやすいのか。
女性ライターの方は欧米諸国の価値観好き好き大好きなのか、当該書籍ではやたらと欧米諸国が引き合いに出されていました。
英会話の先生がフランス人なので聞いてみるとどうやらマジなようです。
育休二年は当たり前(ルールがある?)、復帰後ももとの職場で同じ仕事をする事は当たり前(ルールがある?)、保育園にあたる施設や熟練ベビーシッターが充実、さらにその後も学費はタダだとか。そりゃ子育ても仕事もしやすいですわねぇ。
そして「何故君の奥さんは専業主婦をしているんだ」と疑問を呈しているなど、女性は働くのが当たり前という価値観との事でした。
私は妻が専業主婦となった背景や日本的人材育成術である「転勤」という制度について説明すると、「Interesting!」と納得してもらえた?ようです。引いてるだけかもしれませんが。
以上です。